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リハビリ室コラム / Rehabilitation Column

脛骨疲労骨折のリハビリテーション リハビリテーション科 木村 佑(理学療法士)

 脛骨疲労骨折は、すねの骨にストレスが繰り返し伝わることにより生じる疲労骨折で、骨折が生じる部分により、疾走型と跳躍型に分類されています。疾走型は、長距離走の選手など走ることの多い競技の選手に好発し、すねの骨の上1/3あるいは下1/3境界部付近に痛みが生じます。跳躍型は、バレーボール選手のようにジャンプを反復するスポーツにおいて生じやすく、すねの骨の中央前方部に痛みが生じます。
 疾走型脛骨疲労骨折は、2~3ヶ月のリハビリにより完治します。一方、跳躍型脛骨疲労骨折は、難治性であり、完治までに半年以上を必要とするケースも見られるため、早期に競技復帰を目指す場合には手術を選択する場合もあります。
 脛骨疲労骨折は、発症初期はレントゲンでは判別できない場合も多くみられます。早期発見にはMRIが有用です。早期発見により、短期間の運動休止で競技に復帰することが望めるため、すねの骨に疼痛が生じた場合には速やかに医療機関を受診する必要があります。
 脛骨疲労骨折の治療は、骨折部の治癒、パフォーマンスの低下を最小限にとどめること、再発を予防することが重要です。そのため、リハビリテーションは、(1)骨折部の治療、(2)足関節の柔軟性の改善、(3)有酸素トレーニング、(4)筋力トレーニング、(5)動作改善を重点的に行います。

(1)骨折部の治療

 骨折部の炎症を鎮静化するためにアイシングを行います。また、骨折部の治癒を促進する治療として、超音波骨折治療器を用いた治療を行います。

(2)足関節の柔軟性の改善

 足関節が曲がらなくなることで、ランニングの接地やジャンプの着地時の衝撃吸収能が低下するため、足関節の柔軟性の改善を丹念に行います。

(3)有酸素トレーニング

 運動休止中の心肺能力の低下を最小限にするため、骨折部への負担が少ない固定式自転車などの非荷重の有酸素運動を積極的に行います。また、必要に応じて、選手個人の練習環境を考慮しながら、リハビリに来れない日に安全に行える有酸素運動の提案も行います。

(4)筋力トレーニング

 足部や足関節周囲の筋力トレーニングはもちろん、大腿部や臀部、体幹といった患部外の筋力や筋協調性を高めるトレーニングを積極的に行います。また、当施設に併設するトレーニングジムを利用したマシーントレーニングなども行います。

(5)動作改善

 ランニング動作やジャンプ動作など、疲労骨折の原因となり得る動作を改善してからスポーツに復帰するようにします。