ヘルシーレシピHealthy recipe

　6 月に入り蒸し暑い日が増え、梅雨の季節を迎えました。

　神奈川県で煎茶＝足柄茶が製造されるってご存知だったでしょうか？今月は「足柄茶の茶園見学」を報告させて頂きます。
　今回紹介させて頂く足柄茶の茶畑は、山北町のハイキングコースの途中にある豊島茶園（いわしやさん茶園）です。ＪＲ御殿場線谷峨駅で下車し、神奈川県農協茶業センターの石渡様より足柄茶の話を聞きながら茶園へ向かいました。ご夫婦で茶園を管理され、昨年初めて足柄茶を製造、販売されたそうです。茶園へお伺いした時は茶の木を刈り込む最中で、高木にならないために適時刈り込みを行うとの事でした。



　山北町にある茶園は山の斜面にあり、時期によっては遠くに新緑の山々が、運が良ければ富士山が眺められる眺望のとてもよい場所にあります。



　茶園に入ると防霜用のファンが茶畑の所々で見られました。また、茶畑の入り口付近には猪や鹿の侵入防止のブザーが設置され、侵入する者を感知すると大きな音が鳴る仕組みに。茶畑の脇道を歩くと、実際に猪の足跡や糞を数カ所で見つけました。猪は土の中のミミズを食べるため茶畑へ侵入、鹿は侵入する際、茶の枝を折ってしまう害があります。



　山北町は足柄茶の発祥の地であり、大正12 年関東大震災の産業復興でこの地に茶を植えた事がきっかけです。山北町の特徴は、保水力が高く水はけのよい土地であり、昼夜の寒暖差も大きく、山の麓をながれる川から発生する霧が直射日光を避ける役目を果たし、柔らかい茶葉がとれます。
　昭和38 年、全国茶品評会一等受賞をはじめとし、「かながわ名産100 選」に選ばれるなど数々の栄誉に輝いています。
　例年、５月１５日〜20 日に摘み取られる茶葉を一番茶といい、6 月１５日前後に摘み取られる茶葉を二番茶といいます。



　ここ山北町をはじめとした神奈川県下の茶畑で茶摘みされ製造された緑茶が「足柄茶」としてかながわブランドのひとつとなります。神奈川県下には荒茶工場が33カ所あり、茶摘みされた茶葉を荒茶加工（一次加工）し、約1 日で荒茶が作られます。そして、山北町にある工場で荒茶から日本茶に仕上げられます（二次加工）。最近では、各荒茶をブレンドした味、色、形のよい茶の人気が高く、ここ数年、給食で煎茶を取り入れる学校も年々増加しているそうです。
　美味しい緑煎茶の入れ方は、急須に茶葉（目安：3g/人）を加え、沸騰した湯を60 度まで冷ました湯で抽出する事です。沸騰したての熱い湯を加えると「タンニン」が出てしまい渋みがかつ煎茶になります。60 度まで冷ました湯を加えると「テアニン」が出る事により煎茶特有の「旨み」を出す事ができます。日本茶特有の旨みがちょっと・・・とおっしゃられる方には、水で抽出する「水茶」がおすすめです。作り方は、急須に茶葉（目安：3g/人）、水、氷を加えた状態で約3 分待つ。待つ間、時々、急須を軽く回します。
　最近では、日本茶を好む外国人が増えており、ワイングラスで日本茶を飲んだり、ワインボトルに入った日本茶（サミットでも使われた）なども販売されるようになってきました。
　石渡様いわく、日本茶の発展のためには、急須でいれる伝統的な日本茶の型を伝承しつつ、日本茶の新しい展開・チャレンジも今後必要ともおっしゃっていました。伝統を守りつつ、その時代のニーズにあう新しいものにもチャレンジする！日本茶だけでなく、どの業種、仕事にも同じ事が言えるのではないか！とお話を伺いながら強く感じました。
　また、今回、煎茶や水だし茶を試飲させて頂き、日本茶本来の「旨み」を改めて強く感じた事が印象的で、改めて日本の食文化がもつ良さに触れられた貴重な時間となりました。
　皆様も新緑のこの時期、緑を見にハイキングなど体を動かしてみてはいかがでしょうか？

日本茶について　

　茶は風味や水色（抽出液の色）を楽しむ嗜好品で、茶葉を用いて作るが、製造工程の違い（主に発酵）により不発酵茶(緑茶)、発酵茶（紅茶）、半発酵茶（ウーロン茶）に大別される（下記資料参照）



　日本と中国は交流が古くから盛んで、留学僧らにより喫茶の風習も日本に伝わったが、本格的に普及したのは1２世紀末に僧侶・栄西が茶の種を日本に持ち帰ってからとされている。

◆茶・・・ツバキ科ツバキ属
　ツバキ科の常緑低木で、適時刈り込みを行わなければ高木になる。葉は長さ6〜10cm、幅2〜4cm の長楕円形で、鋸葉（きょし）がある。花は10〜12 月、5弁の白色花をつける。製茶用に広く栽培、葉の小さい中国型と大きいアッサム型に大別される。寒さに強い中国型は緑茶に適し、日本で主に栽培される。

◆茶摘み
　茶摘みは春〜秋にかけて行われる。芽部分を含め上から3〜4 葉までは、はさみや機械を使って摘まれ、一部は手摘みが行われる。
　時期により一番茶（5 月）、二番茶（６月）とよばれる。一番茶の香りが強く旨みが強いのは「テアニン」を多く含むためであり、茶摘み時期が遅くなるほど「タンニン」が増え、渋み・苦みが強くなる。

◆日本茶の製造工程（下記資料参照）



【日本茶の種類】

• 煎茶
  日本茶の約80%を占め、一番茶から四番茶まである。
• 玉露
  よしず棚などで茶園を覆い、直射日光を避けて栽培。旨みが増し、苦みを抑えられる。
• 番茶
  かたくなった新芽や茎部分を原料にした茶で、製法は煎茶と同じ。
• ほうじ茶
  番茶や中級煎茶を強火で炒った茶。
• 玄米茶
  番茶や中級煎茶に炒った玄米を混ぜた茶。
• 抹茶
  てん茶を石臼でひいて粉末にしたもの。

参考

・新ビジュアル食品成分表：鈴木一 ・食材図典：小学館 ・神奈川県農協茶業センターHP

謝辞
突然の依頼にも快く対応して頂きました石渡様にはこの場をおかりして感謝申し上げます。

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