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ヘルシーレシピHealthy recipe

髙ちゃんリポート「中澤酒造蔵見学編」 ~旬の食材を使ったレシピ~
メニュー紹介
  • さつまいもご飯
  • きのこたっぷり味噌汁
  • 秋刀魚の蒲焼き
  • 青菜ときのこの和え物
  • お月見風豆腐入り白玉



















 10月に入り朝晩肌寒い日も増えてまいりました。
 稲穂が黄金色に実り、米の収穫シーズンです。日本では昔から収穫された新米を使い、11月(早いところでは10月)から日本酒づくり=寒仕込みが始まります。神奈川県でも日本酒が作られている(地酒がある)事をご存知でしょうか?
 神奈川県には蔵元が13ありますが、今月はそのひとつ「中澤酒造」の蔵見学を紹介します。
 中澤酒造は1825年創業で、小田原藩の御用商人として大久保家に出入り、藩公より松田周辺の景勝に因んだ酒名「松美酉」を賜りました(中澤酒造HP より)。
 日本酒づくりに欠かせないものと言えば「水」と「米」。神奈川県内の酒造では、「水」は丹沢水系の地下水を使うため蔵は丹沢水系近くに位置します。今回お邪魔した中澤酒造さんは小田急線新松田駅下車、徒歩約5分という緑豊かな静かな場所に位置します。
 日本酒づくりに欠かせない「米」は、自身の田で収穫した米や各地から取り寄せた米を使い日本酒を作られています。
 

 
 
 蔵見学の前に日本酒づくりに使われる「米」について教えて頂きました。現在、5品種の米(若水、美山錦、五百万石、雄町、山田錦)を使い日本酒を作られています。その年に作る日本酒の種類により使用する米の品種を変えます。下の写真で一番左の「若水」という品種は神奈川県独自の米です。



 日本酒づくりに使用するお米の説明の後、いよいよ蔵の中へ!
 中澤酒造では11月から東北岩手の杜氏さんと社員の皆さん全員で日本酒を作られます。毎年、初日には神主さんのお祓いが行われ、日本酒づくりの無事を願われます。

 ここからは、日本酒作りの工程を蔵写真とともに紹介致します。
1. 「蒸米」
 麹づくりの蒸米を作る作業です。玄米(1日700kg)を洗米→米を蒸す→冷ます。
 蒸米工程で使用する水は丹沢水系の地下水を濾過したものです。日本酒づくりは朝が早い!と言いますが、蒸しあがった米を早く冷まそうとすると早朝となるそうです。中澤酒造さんでも朝4時頃から始めるそうです。



2.「麹づくり」
 麹づくりの部屋で蒸米に麹菌をうえつけ「麹」を作ります。日本酒づくり用の麹は「黄麹菌」を、焼酎づくり用の麹は「白麹菌」または「黒麹菌」をうえます。麹づくりの部屋は常時32~33度に管理されています。

3.「酒母」
 酒母用タンク内で酵母を培養します。
 
 ここで少し雑談。灘の酒は男酒、伏見の酒は女酒との例えをご存知でしょうか?
 水を分類する際、ミネラル含有量から「硬水、軟水」に分類する事があります。日本酒づくりでは、硬水の場合は酵母の餌が多く含まれ「キリッ」とした日本酒が作られ、軟水の場合は酵母の餌が少なく発酵がゆっくりとなるため、「なめらかな飲みやすい」日本酒が作られるそうです。

4.「もろみ」
 もろみ工程の蔵は一旦無菌状態にしてから、発酵用タンクに原料となる「麹、酒母、水」を加え、①麹による糖化、②酵母によるアルコール発酵を約30日間行います。期間中のタンク内の温度管理がとても重要で、仕込み直後は7~8度で、日数が経ち、糖化、発酵が進むにつれタンク内温度は上昇します。上昇し過ぎた場合はタンク外周りのパイプに冷水を流しタンク内温度を下げ、13度に一定管理されます。そして、もろみ工程期間中は毎日、タンク内をかき混ぜながら発酵具合をみます。ここでの発酵具合の微調整は杜氏や職員皆さんの腕の見せ所!長年の経験がものをいう世界です。
 そして、次の工程の「上槽(しぼり)」時期になると7~8度まで温度を下げます。



5.「上槽(しぼり)」
 発酵終了のもろみは小袋にわけられ圧搾機でしぼり、原酒(新酒)と酒粕にわけられます。



6.「火入れ」
 原酒を60~65度で加熱殺菌、酵母の働きを止めます。

7.「貯蔵」
 貯蔵用の蔵は約2度で一定管理され、出荷するまで原酒を貯蔵します。

8.「瓶づめ、出荷」
 出荷する日本酒の種別毎に酒質を調整、殺菌し、瓶詰めを行い出荷します。

 日本酒を作るためには上記に示した沢山の作業工程を経てやっと1本の日本酒が出来上がります。
 昔から農家では春~秋にかけて米を作り収穫します。では、作業のない(=収入のない)冬~春期間に何が作れるのか?という問いから、収穫した「米」を使い「日本酒」を作る!という発想から日本酒づくりが始まったという話を蔵見学後にお聞きし、ものづくりの始まりは何でも意外なところから始まるものなんだなと感じました。
 全国各地で日本酒は作られ、米の品種や水質も各地で異なることから、様々な日本酒に出会う事ができます。今や世界各国でも日本酒に出会える時代にもなりました。
 日本が世界に誇れるものづくりのひとつ「日本酒」。寒い冬に蔵で黙々と麹や酵母という物言わぬ生き物と真摯に向き合い、会話を行い、日本酒を作る皆さんの日本酒づくりに対する想いや、美味しい日本酒を多くの人々に飲んでもらいたいという熱い熱い想いにふれる事ができました。また、日本が誇れる日本酒作りを学ぶという貴重な時間が過ごせた事に感謝いたします。


秋刀魚・イクラ・日本酒について 

【秋刀魚・・・サンマ科】
 秋刀魚は世界に約4 種類分布している。細長い体型が特徴で、背びれ、尻びれは身体の後ろ部分についている。水温は約15 度程度の海域にすみプランクト
ンを餌にしている。
 秋刀魚は回遊する習性があり、春~夏にかけて餌の豊富なオホーツク海近くまで北上し、水温の低下に伴い南下する。秋頃、東北三陸沿岸で水揚げされる秋刀魚は脂がのっていて美味しい。

【イクラ・・・白鮭の卵(サケ科)】
  • イクラ
    白鮭の卵巣がもとであるが、卵巣膜から卵を1 粒ずつはずしたものをさす。鮭の産卵期間近の成熟卵が原料となる。
    イクラとはロシア語で魚卵を示す言葉。
  • スジコ
    白鮭の卵巣を卵巣膜に包まれた状態のまま塩蔵されたもの。








【日本酒の分類】 
  • 純米酒
    米、米麹、水のみで作られた酒
  • 本醸造酒
    純米酒に法律で定められた量の醸造用アルコールが添加された酒
  • 普通酒
    純米酒に法律で定められた量の醸造用アルコール、糖類が添加された酒
  • 吟醸酒
    60%以下の精白米を使用し低温発酵を行ったもの
  • 原酒
    上槽(しぼる)したままのもので加水されていない酒
  • 生酒
    上槽後、火入れ殺菌をおこなわない酒



















参考
・中澤酒造(株)HP
・食材図典:小学館
・新ビジュアル食品成分表:鈴木一
・食品学:林寛