中国は広大な土地を有するため、東西南北で気候・風土が異なり、作物や人々の嗜好も異なります。
☆調理法としての特徴
(1)食べられる部分は全て利用することや、乾物にして保存食にしてから、戻して調理するため無駄がなく経済的。
(2)油脂での高温加熱調理のため衛生的。短時間での調理のため栄養価が高い。
(3)香辛料や香味野菜、特有の香りの利用。
(4)魚肉類は下味をつけ、でんぷんで皮膜を作るため、食品本来の味を流出させない。皮膜により温かい料理は冷めにくい。油と汁との分離を防ぎ、汁ごと全部食べられるなどの特徴をもつ。
☆地域による特徴・・・風土・気候から北方(北京・四川)と南方(広東・福建)にわけられる。
(1)北京料理;黄河流域で発達。
北方にあり冬はとても寒いため、牛や豚など肉や油脂を多く使用して、高カロリーで香辛料もふんだんに使用する濃厚な味付け。鍋料理も多い。また、小麦の産地でもあり、小麦粉を
使用した包子・餅・麺などが多い。
(2)四川料理;長江上流の山岳地帯で発達。
北京から派遣された官吏とともに来た腕利きの料理人により広められたといわれ、宮廷料理の流れをくむ色彩豊かな前菜は代表的。また、土地柄海産物が少なく川魚が主で
、唐辛子など香辛料を多く使用する。岩塩が生産されるため漬物技術が発達し、そのひとつに搾菜(ザーサイ)がある。
(3)広東料理;海岸線に面した広東で発達。
海産物が豊富で魚を使用する料理が多く、「ふかひれ」がよく使用される。また、下味をつける習慣がある。
(4)福建料理;海岸線に面した福建で発達。
広東同様に魚料理や野菜を多用した料理が多い。料理法は精巧で、色調は美しく淡白な味付けである。
☆中国料理の献立構成
中国料理
菜・・・前菜と主要料理
点心・・・一品で軽い食事代わりになるものや菓子
献立一例
前菜 (チェンツァイ) |
冷盆;冷たい前菜 |
温盆;暖かい前菜 | |
大件 (ダジェン) |
炒菜;炒め料理 |
炸菜;揚げ物料理 | |
蒸菜;蒸し物料理 | |
拌菜;和え物・酢の物 | |
湯菜;スープ料理 | |
点心 (ディエンシン) |
甜味;甘味のもの |
鹹味;塩味のもの |
☆中国料理で使用される特殊材料
乾物編
燕窩(イェンウォン) | 海つばめの巣で海藻をつばめの分泌液で固めた物。 |
魚翅(ユイチー) |
鱶(ふか)や鮫(さめ)のヒレを乾燥した物。 スープや煮込みに使用。 |
海参(ハイシェン) |
なまこを干した物煮込みやあんかけに使用。 |
干鮑(ガンパオ) | あわびを茹でて干した物。 |
皮蛋(ピーダン) | あひるの卵に塩・石灰を塗り、籾(もみ)殻をつけて貯蔵・乾燥させた物。 |
搾菜(ザァツァイ) | 四川省の漬物。 |
香辛料編
葱(ツォン) | ねぎ;臭みとり。 |
蒜(スァン) | にんにく;材料のくせを消し。風味を添える。 |
花椒(ホワジャン) | さんしょうの実;肉の臭い消し。 |
八角(パアジャオ) | はっかくういきょう;臭い消し。 |
桂皮(ゴイピー) | にっけい・シナモン;甘い香りをもち点心に使用。 |
調味料編
塩(イェン) | 塩;花椒塩(実山椒の皮粉末+塩) ・胡椒塩(胡椒+塩) | |
糖(タン) | 砂糖;白糖・紅糖・黒糖・氷糖など。 | |
醤油(ジャンヨウ) | しょうゆ;清醤・生抽・鼓油など。 | |
醋(ツウ) | 酢;白醋・紅醋。 | |
醤(ジャン) | 味噌 | 黄醤(ほあんじゃん);大豆みそ。 |
甜面醤(てんめんじゃん);甘みそ。煮込みや炒め物に。 | ||
豆板醤(とうばんじゃん);唐辛子みそ。煮込みや炒め物に。 | ||
芝麻醤(ちーまーじゃん);ごまみそ。いりごまをすりつぶし油で伸ばしたもの。 |
参考 |
・新調理実習:関西調理研究会 |