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血糖の約8割以上は骨格筋(細胞)で取り込まれるため、骨格筋の血糖取り込み能力が低下すると糖尿病の発症に繋がります。
運動は、骨格筋におけるインスリン情報伝達経路を活性化してインスリン感受性を高め、筋細胞内への血糖の取り込みを促進することがわかっています(インスリン抵抗性の改善)。また、筋細胞内では、糖を輸送する働きをするGLUT(グルト)4
タンパク質の数が増加するとともに筋細胞内でのその働き(→トランスロケーション:筋細胞内部から細胞膜や横行小管への移動)も活性化することがわかっています。
コントロール良好な2型糖尿病あるいは発症間もない2型糖尿病では運動療法が効果的とされています。一方、インスリン分泌が全くない1型糖尿病や2型糖尿病でも進行した合併症を有する場合は、ほとんどの場合運動は制限されるかまたは禁忌(禁止)となります。
糖尿病の運動療法といえば、まず先にウォーキングやジョギングなどといった有酸素運動を思い浮かべる方が多いと思います。それは間違いではありませんが、近年では、とくに筋力トレーニングが骨格筋におけるインスリン感受性を高め、糖尿病の改善に大いに効果的であることが注目されています。筋力トレーニングでは、運動中のエネルギー源のほとんどを糖に依存することが要因と考えられます。
次回の【理論編4】減量の成功例では、6か月間の“体脂肪の減量”によって、高LDL コレステロール血症、高中性脂肪血症が改善した方の例をご紹介したいと思います。
下の図表は、当センター減量教室に参加した女性(R.O.さん)の教室前後の検査結果を示したものです。
R.O.さんは、他の医療機関で行った血液検査で血清脂質(LDL コレステロール、中性脂肪)が基準値よりも高く、“脂質異常症”と診断されて薬物治療を受けていました。減量教室の開始直前に当センターで行った検査でも、LDL コレステロール値と中性脂肪値が基準値より高く、脂質異常症と診断されました。また、内臓脂肪面積が100cm2を超えていて、“内臓脂肪型肥満”と判定されていました。
教室開始から12 ヶ月後、R.O.さんの体重は66.2kg から47.0kg に減少し(うち-18.2kg が体脂肪)、内臓脂肪面積は161
cm2から11cm2へと大きな減少を示しました。また、血清脂質はLDL コレステロールが161mg/dlから99mg/dl(基準値は65〜139mg/dl)、中性脂肪は288mg/dl から53mg/dl(基準値は30〜149mg/dl)へと低下し、何れも正常値に改善していました。
現在R.O.さんは、コレステロールを下げる薬の中止を主治医と検討中とのことでした。
では、R.O.さんは、どのようにして1 年間で-18.2kg の“体脂肪の減量”に成功したのでしょうか?
アメリカに赴任中の3 年間で+10kg、さらに日本に帰国してから教室に参加するまでの2年間で+2kg 体重が増えてしまったR.O.さんは、学生時代の48kgに戻すことを目標に減量を開始しました。
下記枠内は、R.O.さんにいただいた『減量教室体験談』の一部です。R.O.さんは、揚げ物やプリンなどの脂っぽい食事やデザートが好きで、減量前はよく食べていたとのことでしたが、そのような食習慣の改善を図るとともに、週4日の頻度でエアロビクスや筋力トレーニングなどの運動を実施していました。
当センター減量教室では、食事療法と運動療法を併用することで、“筋肉や骨などの除脂肪量をできる限り維持しながら、体脂肪だけを落とすこと”を基本方針に掲げています。運動療法を併用することで、食事療法単独による厳格な食事制限を緩和することができ、また、筋肉量と基礎代謝量の減少を最小限に抑えてリバウンドの防止に繋がるからです(→【理論編2】肥満・メタボリックシンドロームに対する運動の効果)。
R.O.さんは、“学生時代の体重に戻したい”というモチベーションを失うことなく、食事・運動併用療法を一年間継続することで当初の目標を達成したのです。
下記の写真は、R.O.さんが教室期間中に付けていた「食事記録」と「トレーニング記録」の一部です。その記録をみると、R.O.さんが一生懸命減量に取り組んだ様子がわかります。
血液には、コレステロール(LDL コレステロール※1、HDL コレステロール※2 など)やトリグリセライド※3(中性脂肪)、遊離脂肪酸、リン脂質などの脂質が含まれています。脂質異常症※4 とは、これらのうち、
@ LDL(悪玉)コレステロールの血中濃度が一定の基準より高い状態(高LDL コレステロール血症)、
A HDL(善玉)コレステロールの血中濃度が一定の基準より低い状態(低HDL コレステロール血症)、
B 中性脂肪の血中濃度が一定の基準より高い状態(高トリグリセライド血症)、
をいいます。@〜Bのうちのどれか一つでも該当すれば、脂質異常症になります(下表参照)。
動脈硬化を進展させる因子には、脂質異常症の他にも「加齢」、「高血圧」、「糖尿病」、「喫煙」、「家族歴」
などがありますが、脂質異常症はこれらの中でも動脈硬化を進展させる最大の危険因子とされています。
心筋梗塞や脳梗塞を発症した人の中には、LDL コレステロールとHDL コレステロールのどちらも正常だったのに、LDL コレステロールに対するHDL コレステロールの比率(L/H 比)が低かったという例が臨床上多くみられるそうです。そこで最近では、LDL コレステロール値とHDL コレステロール値を個々に判定するだけでなく、L/H
比についても評価することが動脈硬化性疾患の予防に有効ではないかと注目されています。
このL/H 比は、数値が高くなるほど動脈硬化が進展し、動脈硬化性疾患を発症するリスク(確率)も高くなります。L/H 比の基準については、現在、国内外で公式に定められたものはありませんが、動脈硬化性疾患の一次予防のためには2
未満、心筋梗塞や脳梗塞などの病歴がある場合や高血圧、糖尿病、家族歴、喫煙など他に動脈硬化性疾患の危険因子がある場合は1.5 未満を管理目標とする医療機関が増えてきています。
健康診断を受けられた方は、このL/H 比についても是非チェックしてみてください。