スポ医科コラム
スポーツと貧血
横浜市スポーツ医科学センター 診療部長 長嶋淳三、内科診療科長 木明彦
スポーツに起因する貧血は、「1.鉄欠乏性貧血」と、「2.希釈性貧血(偽性貧血)」の2者に大別されます。
「1.鉄欠乏性貧血」は、1)発汗による鉄の喪失、2)胃腸からの微小な出血、3)足底の衝撃による微小血管内溶血による貧血で、鉄分の補給による治療を要します。
「2.希釈性貧血(偽性貧血)」は、鉄の不足がないのにヘモグロビン値が低い場合をさします。これは、トレーニングにより血液の液体成分である血漿が増えた結果、ヘモグロビン濃度が薄まった状態を指します。これは偽の貧血で、真の貧血ではありません。むしろ血漿成分が増えることにより血液を薄めて、筋肉の末梢まで循環をよくし、効率よく筋肉を動かすための生理的な変化です。したがって治療をする必要はありません。
当センターのクリニックでは、貧血検診「貧血黄紋筋パック:血中ヘモグロビン濃度、平均赤血球容積(MCV : mean corpuscular volume)、血清鉄、フェリチン(貯蔵鉄)、不飽和鉄結合能(UIBC
: unsaturated iron binding capacity)、肝機能、CK(creatine kinase)」を随時受け付けております。院内に検査機械を有しており、30分程度で結果をお知らせできます。(料金5000円・税抜き・健康保険適応外)(検査結果に基づき、薬物治療を開始する場合は別途保険診療となります)。また当クリニックは学生や一般勤労者が受診しやすいよう、土曜午後(受付時間1時−4時)も診療しております。電話にて予約を承っておりますので(045-477-5050)どうぞお気軽に受診ください。