実際に運動してみると、意外ときつかったり、逆に物足りなかったりすることもあります。@〜Cは、いずれも最高心拍数を( 220−年齢 )で推定していますが、この推定に誤差があるためです。楽々ならば、計算した値より高い心拍数で、きつければ計算した値より低い心拍数で運動してみましょう。「楽でもなく、きつくもない」感覚が大切です。ただし、計算した値と15拍以上差がある場合は、念のためスポーツ専門医に相談することをお勧めします。
「楽でもなく、きつくもない」適切な運動強度は、スポーツ生理学的には、血中乳酸で決定します。楽な運動なら30分以上続けても血中乳酸は上がっていきませんが、激しい運動では血中乳酸が上昇して、運動を継続できません。多くの研究から、運動を続けても血中乳酸が上がるか上がらないかの境目あたりが適度な運動であることが分かっていて広く認められています。しかし血中乳酸は、簡単に測ることが出来ないのが難点です。
これに対し、心拍数は、胸に手を当てたり、手首(撓骨動脈)やくび(頸動脈)に指を当てたりして測るのが容易です。心拍数(脈拍数)は、運動の強度と比例関係にあり、楽ならば低く、きつければ高くなります。そこで、運動しながら、心拍数と血中乳酸を同時に測り、血中乳酸が上がるか上がらないかの境目に相当する心拍数を見つけて、それを目標心拍数とするのが良いのです。マラソン、自転車レース、トライアスロンなどを目指す人は、一度測ってもらうと良いでしょう。
また、胸に電極付きのベルトを巻き、腕時計式に心拍数を見られる心拍計も市販されています。
【50歳、安静心拍数60拍/分、強度50%の場合の目標心拍数】
@【 180
−
年齢
】
= 180
−
50 = 130
A【 138
−
年齢
÷
2 】
= 138
−
50 ÷
2 = 113
B【(
220 −
年齢
)×
( 70% ) 】
= ( 220
−
50
)× ( 0.7 ) = 119
C【{(最高心拍数)−(安静心拍数)}×(50%)+
(安静心拍数)】
=(220−50−60)×
0.5 + 60 = 115
※強度50%に相当する係数は、Cでは0.5ですが、Bでは0.7程度になります。
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このコラムは「図解スポーツトレーニングの基礎理論」(横浜市スポーツ医科学センター編、西東社 2007年)を参考に 執筆しています。 |