第3回
「特定健診・特定指導について」
スポーツ医科学センター診療局科 岩田 真由巳(保健師)
近年の日本では、特に40代の中高年男性を中心に、肥満である人が増えており、その多くの人が、糖尿病・高血圧症・脂質異常症等の生活習慣病の危険因子をいくつも併せ持っていると言われ、これらの危険因子によって引き起こされる生活習慣病患者の数は増加し、国民の医療費のおよそ30%を占めるほどに至っています。
特に、内臓に脂肪が蓄積した肥満(内臓脂肪型肥満)により、さまざまな病気が引き起こされた状態をメタボリックシンドロームと呼んでいるのはご存知のことでしょう。メタボリックシンドロームのように危険因子がたくさん積み重なると、心疾患や脳血管疾患を引き起こすリスクも大きくなりますが、これらは生活習慣次第で予防・改善ができます。
そこでメタボリックシンドロームに着目し、食事・運動を始めとする生活習慣の保健指導(=特定保健指導)によって、メタボリックシンドロームの該当者や予備軍を減らそう!
という計画が生まれました。
そして、保健指導の対象者を探し出すための健康診断として「特定健康診査」が生まれ、今年の4月からスタートしています。
○特定健康診査(特定健診)の仕組み
○特定保健指導とは?
健診結果が出たら、次は保健指導へと進んでいきます。しかしながら、「保健指導って何?」と思う方も多いと思います。
今回スタートした『特定保健指導』は、生活習慣を改善することが必要とされた人を対象に行われます。対象となった人が自分で生活習慣の中に課題を意識して、変わろうとし、変えていくことが大切となります。
また、健康に関して自己管理を行っていくとともに、健康的な生活を維持できるようになることを通して、生活習慣病を予防するために行います。
○有効に活用しましょう!
『特定健診』も『特定保健指導』も、「複雑だな…」と感じる方もいるかもしれません。
「腹囲」やその他の血液検査の項目で追加・削除されるものはありますが、これまでのように、年に1度の健康診断として『特定健診』を受けていただくことは変わらないのです。
これまでと少し違うのは、健診結果により、保健指導を受けていただくようになるということです。「面倒だな…」と思いますか?でも、考え方を少し変えてみてはどうでしょうか。
『特定保健指導』を受けるということは、『自分の健診結果に合わせて専門家からのアドバイスを受けられるチャンスがある』ということなのです。健診結果や生活習慣を改善しなければいけないことはわかっているけど、どうしたらいいかわからないという人、自分だけでは頑張りが続かないという人…
『特定健診』で現在の自分を知り、『特定保健指導』で良くない生活習慣を見つけて改善するチャンスとしてご自身の健康管理に有効に活用しましょう。