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リハビリ室コラム / Rehabilitation Column

第65回東日本整形災害外科学会 参加記 横浜市スポーツ医科学センター リハビリテーション科 藤堂 愛 (理学療法士)

 9 月22・23 日の2 日間,箱根のザ・プリンス箱根芦ノ湖にて『第65 回東日本整形災害外科学会』が開催されました.本学会の参加者は医師が中心で,名前の通り外傷に関わるテーマが多いのが特徴ですが,人工関節に関する演題や肩腱板損傷に対する新しい術式の試みなど,様々な分野の最新の知見を学ぶことができる学会です.また,近年はスポーツ整形に関するシンポジウムも開催されるようになっており,スポーツ整形を中心に診療している我々にとっても興味深い内容になっています.

シンポジストを勤めた中田PT

 今回のテーマは『素心深考』であり,素直な心でしっかり考えるというコンセプトの元,整形外科医を中心に数々の講演が行われました.

 当センターのリハビリテーション科から中田周兵がシンポジウム「ストレッチンクの理論と実際」にてシンポジストを務めましたので,簡単にご紹介致します.

中田周兵「ストレッチングの効果と実際―ダイナミックストレッチング」
 一般的にも広く知られているストレッチですが,単にストレッチと言ってもいくつかの種類があり,効果をもたらす部位や目的が異なっていることはあまり知られていません.その中でも運動前に行うと良いとされているのが,ダイナミックストレッチングです.ダイナミックストレッチングとは,関節運動により筋の伸張・短縮を繰り返すストレッチ方法で, 反動を使わずに関節可動域の最終域まで大きく動かすことを基本とします.

 ダイナミックストレッチングは,柔軟性改善の効果以外にも最大筋力や筋パワーの向上,最大垂直跳びや走行速度の向上などが報告されており,運動パフォーマンスの向上において部分的に貢献していると推測されています.
 また,ダイナミックストレッチングと他のウォーミングアップ運動も組み合わせることによって,下肢傷害発生率が有意に減少したという報告があり,傷害予防につながるとも考えられるが,この点に関してはさらなる検討が必要な段階であると言えます.

 同シンポジウムでは,他にも"スタティックストレッチング(静的ストレッチ)"や"徒手的アプロ―チ"等ストレッチについて幅広い視点からの発表が行われました.関節可動域を広げる目的ではスタティックストレッチングが有用であり,即時効果と効果の長期維持には徒手アプローチが有用であるというとても興味深い内容でした.
 一般的にも普及しているストレッチですが,その効果の把握と適切な選択がより大きな効果をもたらすということを再認識できました.

 今回は,生憎の雨模様でしたが,会場内は活気で溢れておりました.また、整形外科医が中心となっている本学会で、理学療法士である中田がシンポジストとして発表できたことはとても有意義であったと思います.今後も当センターから最新の知見を発信していけるよう努めていこうと思います.