• アクセス
  • Q&A
  • リンク集

リハビリ室コラム / Rehabilitation Column

シンスプリントのリハビリテーション リハビリテーション科 木村 佑(理学療法士)

 シンスプリントはランニングを頻繁に行う競技で起こりやすいスポーツ障害です。運動時や運動後にすねの内側の中央1/3の範囲に痛みが生じる特徴があります。痛みが生じる部分はランニング接地時の衝撃を吸収するために働く筋や地面を蹴るために働く筋が付着する部分です。オフ開けや合宿などの運動量の変化やスパイクやサーフェス(地面)の硬さなどの練習環境と関連しているともいわれています。

運動後のみに痛みが生じる場合や痛みは感じるが運動が可能な場合は練習を継続してしまう選手が多くみられますが、痛みを抱えたまま練習を継続することで、運動継続が困難な痛みや慢性的に感じる痛みへと増悪してしまい、結果として数週間から数カ月の運動制限を余儀なくされてしまう選手も見受けられます。また、すねの痛みは同部位の疲労骨折においても生じることがあるので、すねに痛みを感じた場合は早めに医療機関を受診するようにしましょう。

シンスプリントのリハビリテーションは、(1)適切な休養をとること、(2)足関節や足部の可動性を回復させること、(3)足のアーチやふくらはぎの筋力強化することが基本となり、必要に応じて足の働きを補助するために(4)インソールを作成します。

(1)適切な休養

 重症度によって休養期間は異なります。軽症であれば、競技を継続しながらリハビリテーションを実施しますが、痛みや炎症が強い場合には一定期間の運動を制限し、治療に専念するようにします。

(2)足の可動性の改善

 足首を曲げる方向(しゃがむ方向)の動きに制限があると、接地時の衝撃吸収能力の低下やランニグフォームの不良が生じやすく、伸ばす方向(背伸びの方向)に制限があると地面を蹴る力が低下します。いずれもシンスプリントの要因となるので、ふくらはぎの筋や足部の筋の柔軟性を改善させるマッサージやストレッチを行います。

(3)筋力強化

 ランニング接地時のすねの内側へのストレスを減少させるために足部のアーチを支持する筋のトレーニングをし、また、ランニングの蹴りだし時に活動するヒラメ筋のトレーニングを積極的に行います。

(4)インソール

 理想的なアーチ形状を保持するためにストレッチやトレーニングだけでは不十分な場合には、インソールを処方します。